仕事の着地点を見ろ
あんまり仕事論について語れるほど仕事してないから、アレなんだけど
ホットペッパー営業のときに叱っていただいたとある言葉が
私の身体の一部になってる。
まあ、あんまり仕事してないんだけども・・・。
仕事の着地点を見なさい!
ホットペッパーの営業時代に一番言われて、ハッとしてしまった言葉。前書いたみたいに、仕事のやる気はあるのに、ホットペッパーが大嫌い、という悩みを抱えていた私にとって、仕事のスタンスを考えさせられるようになった言葉であった。
デカイ唐揚げが名物の居酒屋チェーンの伊藤様
おそらく、わかる方には一瞬でわかるはずだ。もう10年以上前の思い出だから、こんくらいのぼやかしでいいと思う。
私が担当していた頃でも、お年は失礼ながら50歳以上であったとおもう。それでも、とても元気な方で、ホットペッパーという若い女性向けの雑誌を手に取りながら、一生懸命に読者を想像して、一文字一文字、原稿を考えてくださるのだ。
ホットペッパーの打ち合わせ
ホットペッパーの営業は、毎月原稿を制作するために店舗へ打ち合わせに行く。広告の反響や、競合の動向などを意見交換しながら、次回の掲載内容を決めるのだ。
私は売れない営業マンの自覚があったので、売れない負い目や不安を紛らわすために、とりあえず印刷資料はきっちりきれいにファイルに用意して現場に向かうのである。
(そうすると、準備ばっかりして新規営業にいかねーなコイツって怒られる。まあ、それは今いいや。。。)
ダメ出しばかりの打ち合わせ
伊藤さんとの打ち合わせはすごくハードで、ナイフみたいな強い質問がどんどん飛んでくる。
「いまこのエリアってどういう広告が効果でるの?」とか
「プランアップの提案よりも、今のサイズでフルの効果だしてよ」とか
「この言い回し、反響出るかな・・・」とか
どの業界の広告営業マンでも、はっきり答えられるべき質問なんだけど、これは一人前になってもマジで答えるのが難しい。正解というよりも、たぶん、マーケッターとしての意見を問われているからだ。飲食に一切興味がない私には、どだい無理である。
仕事の着地点を見ろ
もちろん私はその質問に、一度も答えられたことがない。「あ~う〜ん」発声機である。
ある日、最低限やっていた必要資料の印刷を全部忘れてしまった。忘れてすいませんとお詫びした、そのとき言われたのが、上の言葉だった。
印刷物ちゃんと持ってくるのがお前の仕事じゃないよ
秋葉原の唐揚げがでかい居酒屋の伊藤さん
そうではなくて、良い広告を作るのが仕事のはずだ
仕事の着地点をみて行動しないと、資料印刷して運んでくることだけが仕事になるぞ
ほんとそうなのである。
(そんときは、資料印刷も忘れて来たけど)
まあ、準備しないと打合わせで怒られちゃうんだけど、
準備だけしておけば、最低限のことをしたから言い訳を作れてしまう。
資料をわすれたことで困っているのはお客さんじゃなくて、自分なのだ。
そして、本来謝るべきことは「いつも打ち合わせがダメダメでスイマセン!!」ということなのである。
今やっている仕事の着地点は何なのか、それを思うこと。
いい広告を作るために必要なのは、資料の印刷ではなく、マーケットの想像力であったり、
まあ、それは人それぞれなんだろうけど、とにかく
きっちり資料を印刷すればいい広告ができるわけではないし、仕事の着地点では資料の印刷と運搬ではないことは確かである。
あれは営業マンを試していたのではないか?
いま、この記事を書きながらそんな考えがよぎった。
伊藤さんはなんであんなにこまかく言い回しを考えていたのだろう?
ぶっちゃけていうと、毎月ホットペッパーの言い回しを
こまごま変えたところで、べつに毎回効果がアップするわけではないし、
そもそも、その効果の差異を図るすべもない。
そんなこと、伊藤さんのほうがわかっていたはずである。
なぜ、あんなに熱心にやっていたのだろう?
それは、営業マンの意欲を試していたのではないか?
伊藤さんの考えを理解しようとし、
一生懸命に伴走しようとしてくれる優秀な営業マンを探していたのではないか?
たとえば、「個室」という言葉を、伊藤さんと一緒に「洞窟のようなふたりだけの特別空間」
「帰りたくなくなる無限迷路的個室」とかああでもないこうでもないと、考える仲間。
そういう「いっしょにやってくれる仲間」ってなかなかいないから、
それを探すという意味ですごくいいやり方だったかもしれない。
もちろん、自分は伊藤さんに貢献できていなかったけど、
必死について行こうとしていた姿勢は、覚えてくれたらいいな・・・。
すくなくとも、私は、
伊藤さんの言葉が体の一部になるくらい、ちゃんと頑張っていたのだ。